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2008
別格20番 大滝寺への遍路道(夏子ダムルート)
大滝寺への遍路道(夏子ダムルート) [ 11/17 2008 ]
膝の痛みも何とか治まりほぼ普通に歩けるようになったので、大滝寺へ夏子ダム経由で登ることにした.穴吹駅を朝7時に出る高松行きのバス(琴電西武バス)に乗り、夏子ダムへ向かった.乗客は私1人なので、バスの運転手さんと世間話をしていた.夏子という停留所で降りる予定だったが、運転手さんが気を利かせて広域農道の入り口で降ろしてくれた.
先日の事前調査では最初の遍路道を通らずに広域農道を迂回したが、思い切って遍路道を歩いてみることにした.人の家の畑を通ることになるので一言挨拶してから通るつもりだったが、誰も居なかったのでそのまま段々畑の畦道を歩かせていただいた.ハッキリとした道がついている訳ではなかったが歩くのに苦労する事はなかった.2〜3分程で広域農道に合流した.この最初の遍路道はそれほど短縮効果がないので、農家の迷惑にならないように広域農道を迂回した方が良いかもしれない.
先日の予備調査で見つけておいた『夏子生改加工所』の前の遍路道の入り口から山に分け入った.最初は歩きやすい遍路道だったが、数分歩いたところで枯れた小さな沢に行き着いた.ここで道の判別がつかなくなってしまった.辺りを見回すが標識のような物は何もなくそれらしい道は見あたらない.とりあえず沢沿いの歩けそうな所を登って行くことにした.至る所に倒木や木の枝が茂っていてとても道と呼べるような状態ではない.獣道をかき分けてよじ登っていると言った方が良いだろう.
道なき道を悪戦苦闘しながら登って行くが、途中で完全に道がなくなり、一旦下まで降りては歩けそうな所を探し出してまた登って行くというパターンを何十回となく繰り返すが一向に埒が開かない.疲れ果てて一休みしていると、沢の反対側で『バキッ』と枝の折れる大きな音がして、何かがこちらに近づいて来る気配がした.そう言えば11/15日から狩猟シーズンに突入したらしいので、猟師さんが鉄砲を持ってこの辺りをうろついているのかもしれない.間違って撃たれてはたまらないので、大きな声で『誰か居ますかー?』と呼びかけてみたが返事はなかった.そのうち足音は遠ざかっていった.きっとイノシシか鹿の類だろう.獣道と思われる道の周辺にはイノシシがほじくり返したと思われる痕跡が沢山あった.こんな山の中でイノシシとバッタリ遭遇という事態だけは何としても避けたいところだ.木の枝の棒で周りの木々の枝を叩いて大きな音を立てながら山の中を歩くことにした.
ここまで探し廻っても遍路道らしき痕跡を見つけ出せなかったので、遍路道探しは諦めて元の場所まで戻って広域農道を歩くことにした.山の斜面を下って行く(滑り落ちていくという表現の方が合っているかもしれない)と、右手の斜面にこれまで見かけたことのない道のようなものを見つけた.これが最後のチャンスと思い、思い切ってこの道と思われる斜面を登って行った.歩いて行くに従って段々道らしくなってきた.遍路道かどうかは分からないが林業か何かの作業道のようだった.やがて周囲が明るくなり少し開けた場所に出た.どうやらやっと山中の迷路から脱出できたようだ.道の先はコンクリートで舗装された細い道につながっていた.出口付近の木の枝には真新しい『罠あり注意』の標識が付けられている.イノシシ猟の罠(トラばさみ)のような物が仕掛けられているようだ.とりあえず無事脱出できてホットした.
国土地理院の地図とコンパスを頼りに歩いていればもっと簡単に歩くことができたはずであるが、勘だけを頼りに歩くと痛い目に遭うことを身にしみて経験した.次回この道を歩くときにはGPSを持参してチェックしながら歩くことにしよう.
たった400〜500m程度の山道を越えるのに、結局2時間も時間を費やしてしまった.広域農道を迂回すれば距離は4〜5km程度長くなるが、1時間もあれば楽に登って来ることができたはずである.今回は遍路道の調査が目的なのでこれはこれで収穫はあったのだが、今までで一番厄介な遍路道だった.
遍路道の痕跡は全く残っておらず遍路標識など全くありません.周りは獣道だらけで踏跡を探し出すのは困難です.
春から秋にかけては草木がもっと生い茂っているのでこのような状況で歩くのはとても困難でしょう.
11月中旬からは狩猟シーズンとなるため、周辺には狩猟の罠が仕掛けてありとても危険です.
普段バリエーションルートを歩いているような山登り経験者であれば問題ありませんが、ハイキング程度の登山経験しかない場合はかなり遠回りになりますが広域農道を迂回するのが最善策です.
山歩きに不慣れな人が入り込むと遭難の危険性があります.
コンクリートで舗装された道を登って行くと、見通しの良い場所に出た.下の斜面に農家が数軒あったので、道の確認のため農家まで降りていった.農作業をしているおじさんが居たので近づいて行くと、いきなり大きな黒い犬が吠えながらこっちに向かって突進してきた.犬はロープにつながれていたのでここまでは来ないだろうと高をくくっていたら、首輪につながれたロープの端が長い鋼鉄製のワイヤーにつながっていて、何十メートルも自由に動けるようになっていた.慌ててその場を逃げ出し、寸前のところで噛みつかれずに済んだ.まさに危機一髪だった.
狩猟犬として飼っている犬のようだった.おじさんが犬の首輪を捕まえて近くの杭につないでくれたのでようやくおじさんに道を尋ねることができた.やはり先ほどの道は遍路道の出口だったようだ.今は誰も歩く人が居ないのですっかり荒れ果てて、遍路道の痕跡すらよく分からなくなっているという.この農家の有る地区は細野というらしく、先ほどのコンクリートの道をそのまま進んでいくと広域農道に合流するので、そのまま広域農道を真っ直ぐ進むと大きく左にカーブし、その先にある最初の家の手前から再び遍路道に入ると教えてくれた.次の遍路道は軽4輪自動車が通れる広くてしっかりした道だという.
おじさんにお礼を言い、コンクリートの道を登って行った.やがて峠のような部分に差し掛かると、直ぐ下に広域農道が通っていた.おじさんの言うとおり広域農道はその先で大きく左カーブしており、反対側の斜面に確かに民家が建っている.ここの手前に遍路道の入り口が有るはずだ.
民家の手前まで来ると確かに木の枝に遍路標識の札が付けられていた.どうやらこの道が遍路道らしい.車が楽々通れる舗装された道が暫く続いた.やがて舗装が無くなり土の道になり、九十九折りの坂になったが道は広く、遍路標識も要所要所にありとても歩きやすい道だった.途中標高750m付近で農家のおじさん達が道路沿いの木々を枝打ちしていた.枝打ちされた残骸が道路に無造作に捨てられていて歩くのに難儀した.この付近の道は雨水による浸食で大きくえぐられていて、車も入って来ることができないようだった.
3番目の遍路道に入ってから約1時間20分ほどで河野メリクロンの大滝山育苗場の横を通過し、そこから10分ほどで大滝山頂上付近の県境の道路に出た.私は西照神社の境内を通ってから大滝寺の境内へ向かったが、直接大滝寺へ向かう場合は県道106号線を左下へ百メートルぐらい降りて行ったところにある.大滝山の頂上付近は県立の自然公園になっていてブナの原生林が沢山生えていた.香川や徳島県の手頃なハイキングコースとして人気があるようで、この日も結構ハイキング客を見かけた.
大滝寺の境内へ降りていくと本堂の横に大きな家を新築していた.以前は大師堂と納経所、お寺の住居が一緒になった建物があったのだが、この建物を新築したようだ.何となく本堂とのバランスが気になる.水不足の問題は解決したのだろうか.
夏子ダムからの大滝寺への所要時間の目安として、全部遍路道を通れたとして2時間30分程度、実際には2番目の遍路道は通れないので、その分広域農道を迂回するとしてプラス1時間といったところでしょうか.途中で休憩したりすることを考えると、上りで4時間程度見込んでおけば十分でしょう.勿論個人の脚力によって時間は変わってきますが、別格を歩いて廻る人たちは皆さんそれなりの健脚の方々でしょうから、自分の脚力に応じた所要時間の目安は付くことと思います.
大滝寺からの帰り道は夏子ダム経由ではなく、大谷川沿いの県道252号線で直接脇町へ下りて行くルートを通りました.このルートは昨年も下りているので、道に迷うことはないのですが、県道106 → 広域農道 → 県道252 → 脇町 をアスファルト舗装された車道を歩くのは退屈なので、今回は予め国土地理院の 1/25000 で下調べしておいたショートカットルートで下りて行くことにした.
大谷小学校(現在は廃校になっているようだ)の付近を歩いていると、ポツポツ雨が降り出してきたので、途中にポツンと一軒だけあったお店(田舎の雑貨屋さんといった風情のお店)の軒先を借りて雨宿りしていたら、お店のおばさんが中で雨宿りしていきなさいと言ってくれた.そのままおばさんと1時間半くらい話し込んでしまった.雨も上がったようなので再び大谷川沿いの県道252号線を下りて行くと、高速道路をくぐり抜けた先の橋のたもとに『あんみつ館』の看板があった.最初は何の施設なのか分からなかったが、河野メリクロンと書かれていたので、大滝山の上にあった河野メリクロンの育苗場と同じ会社が運営している園芸施設のようだった.後で脇町の観光パンフレットを調べたら『あんみつ館』はシンビジウムのショールーム兼直売場ということだった.
うだつの街並みに着く頃にはすっかり日が暮れてしまったが、夕暮れのうだつの街並みを歩いてみた.脇町の観光名所と知られているが、それぞれの建物は現在でも一般の人たちが普通に暮らしているようだった.
地図上の数字は上記ギャラリーの写真を撮影した場所です
【補足】大滝寺から脇町方面へ抜けるためのルート情報
歩き遍路用の地図には脇町方面へ下りるための地図が掲載されていないので、国土地理院の『簡単地図作成サイト』を利用して作成してみました.
http://y2web.net/trip/wp-content/uploads/Data/Maps/WakimachiRoute.html (別ウインドウが開きます)
※この地図中の緑の線は実際に私が歩いたルートではなく、地図の情報を頼りに推定した ”歩行できるかもしれない” ルートです.
#31の写真の左側に遊歩道の入り口の標識が写っています.多分ここから大滝寺へ通じる遊歩道(登山道?)が続いているのでしょう.今度大滝山に登る機会があったら確認してみます.