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2015

DA-300USBの内部を覗いてみた

DENON DA-300USBの内部を開けて、電源廻りなどを調べてみた


Inside of DA-300USB
DA-300USBの内部はDACメインボードとデジタル処理系のドータカードの2層構造になっている
プラスチック筐体の上下には3mm厚の鉄板を重り?として付けてある


DAC and DSP modules
DACメインボードとUSB/SPDIF DIRとDSP,ARMマイコンのデジタル処理系ドーターカード

PCB Back Side
デジタルカード裏側にはARMマイコンチップ、DACカードのグランドラインのパターン分離の様子が良く分かる

Digital PCB
デジタル処理系ドーターカードには DSP(TI TMS320)チップ、FPGA(ALTERA 4CE15F17)チップ、
DIR(TI PCM9211)チップが搭載されている



DENON DA-300USBを暫く使ってみると、やはり色々と不満が出てくる.安物のスイッチングACアダプタ方式の電源供給などは論外として、ケースのデザインを優先させてしまったせいか、システム全体の電源供給方式に問題があるようだ.今回はDA-300USBの内部を開けて、電源周りや全体の回路構成や使用しているICチップなどの情報を簡単に紹介しておく.


前回は、DA-300USBの筐体の構造が良く分からず、中を開けて様子を見ることができなかったが、今回は筐体を壊す覚悟で思い切ってこじ開けてみたら、黒いフロントの化粧パネルさへ上手く取り外せれば、あとは内側のフロントパネルのネジを外すだけという意外に簡単な筐体の構造だった.化粧用のフロントパネルが粘着質の接着剤でべったりと内側のフロントパネルにくっついているので、ネジの有りかが判らずに苦労していただけだった.


DA-300USBを使っていて、電源トランス方式の電源に取り替えても音質的にイマイチだったので、DA-300USBの内部の電源周りの設計が気になっていた.外部からのDC+15Vの単一電源供給ということから、恐らく内部でDC/DCコンバータや電源レギュレータによる降圧をしており、外部電源のローノイズ化の効果が薄いのではないかと懸念していた.折角電源トランス方式によるノイズの少ない電源を供給しても、内部でノイズ発生源であるDC/DCコンバータのスイッチングノイズが加わってしまったのでは、折角の苦労が水の泡だ.


今回、DA-300USBの内部の電源供給方式を調べてみて正直驚いた.DC/DCコンバータの電源出力をそのまま三端子レギュレータで降圧してアナログ系に使用しているとは思ってもみなかった.DC/DCコンバータを使うくらいなら、シャント型の電源レギュレータによる降圧した単電源方式の方がまだ救いようがある.バッテリー駆動のポータブルヘッドフォンアンプの USB DACではDC/DCコンバータの使用は仕方が無いとしても、ポータブルでもない据え置き型?のDA-300USBでDC/DCコンバータを使うなどとはとんでもない愚行だろう.見かけ上のデザインを優先させる余り、音質を犠牲にして外部のACアダプタ方式を採用したというのが本当の所だろうか.デザインの本質をはき違えているとしか思えない.


DC/DCコンバータの電源出力は当然ながらノイズまみれである事は言うまでもない.試しに+5Vの三端子レギュレータの入力側と出力側の波形を観察してみることにした.


PCB Layout
大まかな基板のレイアウト


DC/DC Convertor
入力された DC +15V を+/- 11V程度のDC正負電源に変換する DC/DC コンバータモジュール

DC-DC Converter Output Noise
+5V 三端子レギュレータ(7805)の入力端子側のノイズ波形[ 20mV/div ]

 5V - Output Noise
+5V 三端子レギュレータ(7805)の出力端子側のノイズ波形
[ 2mV/div (感度は上記の10倍になっていることに注意!)]


Remove DC/DC convertor
結局有害なDC/DCコンバータは取り外して、DC電源を外部から供給できるように変更する事にした

メインのDACモジュールは一見すると部品が沢山並んでいて複雑そうに見えるが、全体のレイアウトは至ってシンプルだ.この中で目を引くのはデジタルアイソレータADuM1285を9個並べてデジタル部の信号をDC的に絶縁している部分と、黄色いトランスが目立つDC/DCコンバータモジュールだ.


デジタル部のドーターカードに入力された、外部からのDC+15V電源は38Pのコネクタを通して、DACモジュールカードに供給され、このDC/DCコンバータによって+/- 11V程度の正負電源が作られる.この正負電源を7809/7909の三端子レギュレータで +/- 9Vのアナログ部のOPアンプに供給する.同じくDC/DCコンバータの正側出力から7805三端子レギュレータを介して+5V系の電源を、AP1117というレギュレータICで3.3V系の電源を2系統作り出している.DACの電源としては通常+5Vと+3.3Vのアナログ系、+3.3Vのデジタル系なので、7805とAP117でこれらの電源を供給していることになる.


DA-300USBの電源周りを改善するには、このDC/DCコンバータを取っ払ってローノイズな +/- 12V電源を供給するのが良さそうだ.三端子レギュレータ自体のノイズが気になるというのであれば、+/- 9V, +5V, +3.3V の電源を個別に直接供給するというのも有りだろう.DC/DCコンバータの電圧を実測してみたところ、入力側が +14.88Vで、出力側は +10.78V/-11.12V だった.


DAC and IV Conversion
Burr Brown(TI) の32bit DACチップ PCM1795 とIV変換用のBA15218F
アナログ出力用のOPアンプNJM8068とI2C制御のアナログ電子ボリュームNJU72341


Pin assignment info.
コネクタのピンに関する説明が基板上にシルク印刷されているので、
自分で好みのDACモジュールをつなぐことも可能だろう



この製品は DSD128 / PCM 384KHz 対応を一つの売りにしているので、32bitのDACチップである PCM1795を用いているが、音質的には24bitのPCM1792の方が優れているというのは世間一般の評価だろう.AL32プロセッシングという32bitの補完技術を最大の売りにしている以上、音質的には劣るPCM1795しか選択肢がなかったというところだろうか.ディジタルオーディオにあまり詳しくない人達に売りつけるには、どうしても32bit DACを使用している事を積極的にアピールしたいのだろう.


DA-300USBの高音質化計画としては、先ずは劣悪なスイッチングACアダプタを電源トランス方式のローノイズ電源に交換するのが最初で、次に内部のDC/DCコンバータを取り払って、代わりに +/- 12Vの電源を供給するか、DACチップやOPアンプ用など個別に電源を供給することだろう.それでも音質が気に入らないのであれば、DAC部分から後を完全に自分好みのDACモジュールやOPアンプで置き換えてしまうという究極の手段も有りだろう.要は、DA-300USBのデジタル信号部分のモジュールだけあれば十分ということだろうか.まあ、この内容で4〜5万円程度で購入できるのでコストパフォーマンス的には満足なのだが...


DA-300USBで用いられているDACチップ PCM1795 はPCM1792とピンコンパチブルかつモード制御の仕組みが同じであることがTIのデータシートに記載されている.つまりPCM1795を取りはずしてPCM1792に付け替える事が可能という事だろう.デジタル信号モジュールからは32bitのPCMデータが送られてくるので、データ形式がI2S以外の場合は32bitデータを24bitに上手く落とし込まなければならないが、I2S形式の信号であれば最初から何もしなくてもそのまま上位24bitの信号をDACが取り込んでくれるだろう.尤もDACチップだけPCM1792に取り替えたところで、後段のアナログ処理系のOPアンプなども取り替えたくなるので、最初からPCM1792で組まれたお気に入りのDACモジュールを利用する方が現実的だろう.


音質の善し悪しは別として、DA-300USBを使っていて一番困るのは入力信号が途切れると電源が勝手に落ちる仕様だ、電源SWの長押しでこの電源節約モード切替ができるようだが、有効・無効のどちらに切り替えてもいつの間にか電源が切れてしまう.この間抜けな余計なお節介機能を完全に殺す方法はないものだろうか.デジタル信号処理カードにはファームウェア書き換え用と思しきコネクタが、表と裏に2つ付いているのでファームウェアの書き換えは容易な筈だ.尤もPCからUSB端子経由でもファームの書き換えもできるはずなので、デジタルカメラのようにユーザが自分でファームのアップデートをできるようにして貰いたい.


結局のところ、満足のいくデジタルオーディオ装置をローコストで組もうとすると、自作以外に方法はないという事かな?



【追記】DACチップ廻りの回路設計を簡単に調べてみた


DA-300USBで使用しているDACチップ PCM1795 を同じBurrBrown(TI)のピン&コマンドコンパチブルなDACである PCM1792 に置き換える事はそれ程難しい事ではないだろうが、ESSのES9018K2MやAK4490などのDACチップに置き換える事が可能かどうか調べてみることにした.


勿論回路図など望むべくもないので、自分で基板上のラインを追いかけて行くしかないのだが、例によって多層基板なので、ラインを追って行くことは至難の技だ.明確に追える箇所は少なく、テスターの導通チェック機能を利用しながら勘を頼りに辿って行く.このような泥縄的な作業を続けてようやく各信号ラインの概要が分かってきた.


今回の調査で、DA-300USBのDACメイン基板ではDACチップの制御に一般的なI2Cではなく、SPI方式を用いていることが判明した.ボリュームコントロール用の専用IC NJU72341 用としてI2Cによる制御ラインも設けられているのでI2Cだけでも良さそうな気がするが、ヘッドフォンアンプ用のボリュームコントロールは、ユーザが視聴中に比較的頻繁に音量を制御する可能性を考えて、敢えてDACチップの制御はSPIを用いて別系統にしたのかもしれない.


Amanero や XMOS などの汎用的なUSB-DACインタフェースでは、DAC側でDSD/PCMの切り替えるための信号が用意されているが、DA-300USBのUSB-DACインタフェース部分は、Burr Brown(TI) のPCM1795(1792)の制御コマンドを直接吐き出すように作られているので、他のDACとの組み合わせは困難を極めそうだ.尤も、自分でPCM1795用のSPI制御信号を解析して他のDAC用にエミュレートするコントローラを間に挟めばできないこともないだろうが...PCMモードだけで良ければ、他のDACチップも接続して使うことは容易だろう.


DA-300USBのDACチップに渡すデータ信号は一般的なI2Sではなく、内部のデジタルフィルター処理をバイパスする “External Digital Filter Interface ” モードで渡しているようなので、この辺のデータ信号の受け渡し方法について今後詳細に調べて見る事にする.


参考までに、DA-300USBのUSB-DACモジュール基板のピン番号とDACチップ(PCM1795)のピン番号との関係を示した図を載せておく.



DAC Digital Signal Lines
デジタルアイソレータ(AduM1285CRZ)を介してDAC、マルチプレクサ(157)に接続されている


Digital Signal Handling
DACのデジタル入力信号とUSB-DACモジュール基板側の信号の関係

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